連載20.  ある高校生の「読書記録」より。(高1)1966年6月11日。

昨日、担任から「生い立ちの記」なるものを書くように言われた。先生のものの言い方が癇に障る。わざと没個性的かつ抽象的に綴り、最後に「世阿弥いわく、さて、言はんとすればなし」と書いておいた。

 

非凡な人のごとくにふるまへる

後のさびしさは

何にかたぐへむ

──石川啄木『一握の砂』

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6月11日 京大、構内警官立入りを追求した学生逮捕さる(13日全京大抗議集会、川端署にデモ)