2013-04-08から1日間の記事一覧

連載21.  ある高校生の「読書記録」より。(高1)1966年6月12日。快晴

スケッチブックを携えて、天文台のある山にいく。 「朝」 なんといううららかな朝だろうよ娘たちの一塊が道端で立ち話をしている嬉しそうに笑っているそこだけが馬鹿に明るい誰も彼もがそこを通るのが眩しそうに見える ──山村暮鳥 ____________…

連載20.  ある高校生の「読書記録」より。(高1)1966年6月11日。

昨日、担任から「生い立ちの記」なるものを書くように言われた。先生のものの言い方が癇に障る。わざと没個性的かつ抽象的に綴り、最後に「世阿弥いわく、さて、言はんとすればなし」と書いておいた。 非凡な人のごとくにふるまへる 後のさびしさは 何にかた…

連載19.  ある高校生の「読書記録」より。(高1)1966年6月7日。

林芙美子の詩篇「蒼馬を見たり」の意が解った。 読書 岡潔『春風夏雨』 ※ 「自分という観念はつぎの三つの要素から成り立っている。 1.不変なもの 2.主宰者 3.自己本位のセンス」 ──岡潔『春風夏雨』再び自己について _________________________ 6月7日 教育…

連載18.  ある高校生の「読書記録」より。(高1)1966年6月4日。雨が降ったり止んだり

「旅は人生の姿である。人生そのものが實に旅なのである。」──三木清『人生論ノート』 僕の生き方、僕の人生観は……。 通学電車の中で、『フランクリン自伝』『車輪の下』を読む。 「トオイ、トオイ山ノナカデ、フカイ、フカイ雪ニウズモレテ、ツメタイ、ツメ…

連載17.  ある高校生の「読書記録」より。(高1)1966年5月30日。

中間考査終わって3日経った。 読書『アメリカ哲学史』。 人間の思想は水のようだ。 __________________ 5月30日 米原潜スヌーク号、横須賀初入港。反日共系各派100名、横須賀基地正門突破・基地内でデモ展開、刑特法違反で11名逮捕、夜、…

連載16.  ある高校生の「読書記録」より。(高1)1966年5月13日。

アフォリズムという文学形式で何か書きたい 読書──伊藤整『青春』。『講座哲学大系』第2巻の「古代哲学」「ギリシャ古典期の哲学」を勉強中。 ___________________ 5月13日 大阪市大で3名の私服自衛官を発見、学生の追及で学内無断立入り…

連載15.  ある高校生の「読書記録」より。(高1)1966年5月11日。

『三四郎』を読了。三四郎と里見美禰子。 「あなたは餘っ程度胸のない方ですね。」三四郎という男。ストレイシープ。 「うとうととして眼が覺めると女は何時の間にか、隣の爺さんと話を始めている。」 ※ 岡田から「よッ、気障!」と言われてしまった。気障な…

連載14.  ある高校生の「読書記録」より。(高1)1966年5月10日。

読書は、漱石の『三四郎』。“無意識の偽善者(アンコンシャス・ヒポクリット)”か。それに“露悪者”だった、な。 厭世を知る。 ※ 足元は見れない。 _______________ 5月10日 全学連(革マル系)100名、中国水爆実験に抗議し新橋駅構内で集会、…

連載13.  ある高校生の「読書記録」より。(高1)1966年5月9日。遠足の日

自分は小説を持っていって読んでいた。『性に目覚める頃』『友情』。 “青春の文学”を肯定するのか。 「ここに自然のつくった最も美しい花がある。しかも、自分の手のとゞくかもしれない處に。」(『友情』) _________________________ 5月9日 中国、第3回核…